未来の世界、お見せします。

AR(拡張現実)という技術を利用して、現実と仮想をつなぐプロダクトを創る田村さん。 どんな世界を描かれているのか、秋葉原のオフィスを覗いてみました。

田村 建士

たむら けんし|AR(拡張現実)アプリケーション開発
AR(拡張現実)アプリの企画・開発を行うレイ・フロンティア株式会社にて代表取締役を務める。
レイ・フロンティア株式会社
スマートフォン向けARアプリ「LIVE SCOPAR(ライブスコーパー)」
未来をスコップするウェブメディア「未来スコップ」

テクノロジーへの没頭


昔から新しいものが好きでした。
高校時代、人がいないという理由で無理やり入部させられたユネスコ同好会で出会った東京の学生から、
「チャット」のやり方を教わり、衝撃を受けました。
まだWindows95の時代ですよ。
家が事業をやっていたので、たまたま実家に事務用のパソコンがあり、
インターネットに夢中になったのを覚えています。

高校からは、友達の影響でDJにはまり、クラブに通い始めました。
最初は「変わった音楽聞いているな」という程度だったんですが、
次第とハマっていき、テクノのDJを行うまでになりました。
DJを行う傍ら、VJ(映像を素材としたDJ活動)にも手を広げ、イベントも開催するようになりました。
初めてプログラミングを学んだのは、VJとイベントの告知のHPを作るためでした。

大学では、一番性能の良い設備がある研究室に入りました。
やりたいことが明確でなかったし、考えた事もなかったんですよね。
ひたすらテクノロジーに没頭していきました。

サラリーマンだと出世しないタイプだと思います。


就職後は、研究していた技術を生かし、建築向けソフトウェアの上場企業でエンジニアになりました。
当時は就職氷河期のど真ん中だったので、すんなり決まったのは奇跡的でした。

ところが、入社してからは、環境があまり合わないんじゃないかと思い始めました。
祖父も父も経営者だったこともあり、サラリーマンを知らなかったんですよね。
もともと自分で考えて手を動かしていく方が得意なタイプだったので、
サラリーマンだと出世しないタイプなんだと思いましたね。(笑)
このまま働いていると、会社を辞めたときに「ただの人」になってしまうんじゃないかという不安もありました。

そんなとき、今の会社を一緒にやっている大柿に出会い、起業を誘われました。
当時から彼のことは尊敬しており、彼の力があれば苦しくてもなんとかなる、
という根拠のない自信もあったので、決意が固まるのに時間はかからなかったです。
ただ、私自身、自分の能力や経験に不安があった事もあり、他の会社で修行してから、
先に起業していた大柿に合流しました。

起業してからは、これまでの職場との違いに驚きました。
ベンチャーの知り合いはたった一人しかいないようなタイプだったので、
本当に全く別世界に飛び込んだような気持ちでした。

何よりも、もし若いうちから色々な人に会い、このスピード感で働いていたら、
どんなによかっただろうと思いました。
昔の自分は、限られた選択肢しか見えていなかったんですよね。

社会を変えたくて会社をやっているわけじゃない


経営に携わってからは、思いのほか、物事がうまくいきました。
当時、ちょうどAR(拡張現実)分野に注目が集まっていた事もあり、
周囲の支援も受ける事が出来、素人経営ながら、自分は筋がいいんじゃないかと思いましたね。

そんな追い風の中、サービスをリリースする事が出来たのですが、
会員数が思うように伸びず、どうしたらいいか悩む時期が続きました。
順風満帆にスタートできた分、とても苦しかったですね。

立ち止まって考えると、一番大事にすべき「ものづくりの質」に全力を尽くせなかった後悔があったんですよね。

僕らは「いいものを創れる会社」になりたかったんですよ。

「社会を変えたい」みたいな大志で会社を起こしている訳じゃない。
でも、自分たちが納得できるものを作り続けて、世界にインパクトを与えれば、
結果、社会は変わると思うんですよ。

そこなら僕たちは負けないと思うんですよ。

自分たちが大切にすべき初心に立ち返った時、
どん底にいたにもかかわらず、理想の会社になれるイメージが持てたんですよね。

会社にとっての大きな危機を脱することができたのは、
そんな希望のおかげだったんだと思います。

社会に未来を見せるものづくり


AR(拡張現実)は、社会に未来を見せる技術だと思うんですよ。
その上ではまた一から新しい世界が生まれ、色々な可能性が生まれる。
そこを見せる事で、エンジニアもそれ以外の人も希望を持って集まってくると思うんです。

自分自身、限られた選択肢しか知らず自分の可能性を狭めていた過去があるので、
自分たちのサービスを通じて、色々な人に機会を提供できるようになりたいんです。

今はまだ大きく羽ばたくための準備段階ですが、
初心にもどり、自分たちが大切にしていること、得意なことにフォーカスしてものづくりをしていきます。

これからは、一人一人がタレントになり、
個が組織に埋もれず活躍する環境をつくることで、
みんなでわいわいサービスを創っていきたいです。

未来を描く事は、わくわくする事だと思うんです。
夢があることをやっていきたいですね。

2014.02.26

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