自分にしかできないこと~空手での挫折を経てバングラデシュで起業したワケ
「世界中の情報格差をなくす」という理念のもと、バングラデシュで求人情報サイトの立ち上げを行う、Same Page Limitedを設立した高木さん。異国の地に合弁会社を立ち上げ、国境を超えたビジョンを掲げる背景には、どんな思いがあるのでしょうか。
高木 昭博
たかぎ あきひろ|バングラデシュの求人サイト運営
株式会社セームページ・Same Page Limitedを立ち上げ、
バングラデシュ国内の求人情報サイトの運営、ウェブシステム開発等を行う。
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人生の糧を失った後に訪れた大きなチャンス
高校卒業後、早く社会に出たくて大学には進学せずサラリーマンになりました。
しかし、仕事に追われる日々の中で自分は立ち止まっていました。
今の職場で自分の能力をフルに発揮できていないのではないか。自分に問いかける日々が続きました。
そんなある日、高校から続けていた空手の試合で「この人には負けないだろう」という相手に敗れ、自分の中で何かが変わりました。
ものすごく悔しくて、改めて本気で空手をやりたいという気持ちに気づき会社を辞めて、空手選手として新たな人生を歩み始めました。
ただ、選手といってもアマチュアなので個人事業や契約社員を並行しながら練習を続ける日々でした。
空手に人生をかけ、誰よりも努力した自信はあります。しかし、残念ながら選手としては良い結果を残す事ができませんでした。
過度の練習量がたたって怪我が増えていき、薬の作用から何ヶ月も高熱が出続け、生死をさまよっていた時期もありました。
結局、空手家としての人生には幕を閉じなければならなくなりました。
人生の糧を失っていた自分でしたが、そのまま腐っていきたくない、新たな自分の可能性を探してみたい、
そんな思いから、漠然と海外で働きたいという思いを持ち始めました。
ちょうどその時に経産省の海外インターンプログラムの募集が行われており、チャンスだと思って迷わず応募しました。
周りが皆高学歴ばかりの中、高卒で合格をもらえた自分はいい意味で目立った存在だったと思います。
自分には不利な学歴社会の中で、大きなチャンスをもらいました。それを活かせるかどうかは自分次第。
“全身全霊”をかけて、また新たな人生を歩み始めました。
機会がない事で活躍できない人のために生きる
海外インターンの派遣先はバングラデシュでした。お世辞にも日本のように暮らしやすい国ではありません。
そんな不自由な生活とインターンの仕事を目一杯楽しみながら、何か自分にできること、やりたいことはないか探していました。
ヒトを変える出来事は唐突にやってきます。現地に滞在していたある時、空港の近くで物乞いをする子供たちに出会いました。
その中の一人の少年がとても印象に残っています。
はきはき喋って、目にも活力がある子でした。
ふと感じたのは、日本に生まれてしっかりした教育を受けたら、きっと自分より出世するのではないかということ。
彼のような存在が物乞いをしていて、その高い可能性を発揮できない環境へ、違和感を覚えました。
可能性がつぶされていくような、何とも言えない心の痛み。
自分自身、様々な機会に恵まれて今の環境がある、という思いが大きかったので、
機会がないことで活躍できない人のために何かしたい、と思うようになりました。
そんな人たちのための“架け橋”をつくることが、自分にしか出来ない事なんじゃないかと考えました。
情報格差がなくなる世界
そんなキッカケから、まずはバングラデシュで職を自由に選べる環境を作るために、
合弁会社Same Page Ltd.とセームページ株式会社を立ち上げ、現地の求人情報を扱うサービスを開発しています。
現在はバングラデシュの政情が安定しないため、オフショア開発をメインで行っていますが、
自分が機会を与えられた責任を果たすという気持ちは当初から全く変わっていません。
私たちセームページが望む社会は、「セームページが必要ない社会」。誰もが情報にフェアにアクセスできる社会です。
社会に“奇跡”を起こし、情報格差がなくなった未来は、笑顔であふれてると思います。
(校正協力 Same Page 吉田 悠)
2014.02.06