地元の高校に通いながら、研究所で研究する生活が始まりました。最初は、山形県の名産品であるお米の品種改良をしようと考えていましたが、研究アドバイザーの大学院生に影響を受けて、微生物の研究をやってみることにしました。

研究を進めると、これまでやっていたコンピュータ分野に比べて、自分には向いていないと思いました。生物学の論文は、コンピュータの技術書より読むのに時間がかかり、苦痛に感じる時もありましたね。

それでも、すぐに微生物の研究が楽しいと思うようになりました。微生物学は解明されていない領域が広く、いろいろな可能性を秘めているんです。例えば、微生物の研究が食品や新薬の開発に繋がったケースもあり、人間の健康に寄与するという目的のために、研究する意義があると思いました。

コンピュータの勉強は楽しかったですが、僕にとってはただの手段であり目的ではありませんでした。目的がある微生物の研究にやりがいを感じ、向いていることよりも、やりたいことである微生物の研究にのめりこんでいきました。

しばらくは順調に研究が進み、学会ではいくつか賞を受賞しました。しかし、高校2年生のときに出場したある学会で賞を逃してしまったんです。審査員に実験の甘さを指摘され、その時ようやくサイエンスを甘く見ていたことに気づかされました。

サイエンスに必要なのは、結果の再現性や、論理的な思考。高校生であることはサイエンスにおいて全く関係なく、誰もが納得できるデータを出せるかが全てです。年齢が関係ない世界だからこそ、言い訳せずストイックに取り組まなければならないのだと気がつきました。その学会以降気持ちを引き締め、翌年はデータの正当性を何度も見直して挑み、上位の賞を受賞することができました。

3年間通った研究所で、やりたいことに対して真剣に取り組んでいる大学生や教員とたくさん出会いました。加えて、やりたいことを支援してくれる人がたくさんいることにも気づけたんです。自分でやりたいことをやるだけでも幸せだと思っていましたが、一人では実現できないこともあります。そんなとき、指導してくれたり、支援してくれたりする人がいるとわかったことが様々なチャレンジをするきっかけになりました。

やりたいことをやっているといろいろ言われることもありますが、それ以上に応援してくれる仲間もできます。もっとみんなやりたいことやって、言いたいこと言っていいのになと思います。ただ最後に自分の言動に責任をもつことができれば。

微生物の研究を続けるために、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)に進むことにしました。親は最初お金がかかるため反対していましたが、高校3年間の実績を見て認めてくれるようになりましたね。