大学を卒業すると、株式が未公開の企業や事業に投資するプライベート・エクイティの分野で日本トップの企業に入りました。いずれは父のような起業家になりたいと思っており、そのためにとにかく難しい課題を解決できる力を手に入れたかったんです。投資は世の中の優秀な人たちが取り組む、スケールの大きな難しい仕事だから、まずはその会社に入って成長したいと考えていました。

買収の仕事を担当し、充実した日々を過ごしました。しかし、入社した年の暮れに父から、会社を辞めて、父が経営する屋外広告の会社、クレストに入るよう言われました。入社して1年も経っていませんでしたが、「社長」命令ですから、1秒で切り替えてクレストに入社しました。

やりたかった仕事ができなくなっても、全く後悔はありませんでした。学生時代に勉強や不動産の仕事がうまくいかず、眠れないくらい辛い夜をたくさん過ごした経験値が活き、感情がコントロールできるようになっていました。知らない間に父から、経営をする上で重要な、感情を切り替え物事に執着しないトレーニングを受けていたのかもしれません。