人に喜びを与える事業を作りたい。 「できるかどうか」のその先へ。

【Creww株式会社提供】大手クレジットカード会社に勤めながら、既存のビジネスモデルに捉われず、新しい事業を立ち上げようとしている西條さん。もともとは安定志向で、新しいことをするよりも今あるものをベースに考えるタイプだったと言います。そんな西條さんが新規事業を立ち上げるに至った経緯とは。お話を伺いました。

西條勇紀

さいじょう ゆうき|人に喜びを与える事業を作る
三井住友カード株式会社に入社後、同社が出資する株式会社エスシー・カードビジネスに出向。新規事業の企画を担当している。趣味はドラム。大阪勤務時代、社内の有志を集めて大喜利大会を開催するほどのお笑い好きでもある。

※この記事はCreww株式会社の提供でお送りしました。

安定志向だった学生時代


奈良県生駒市に生まれました。小学校くらいまでは体が小さかったこともあって、自分に自信がなく、どちらかと言えば大人しい性格でした。人を押しのけてまで前に出るのは得意ではなく、なるべくことを荒立てないように過ごしていましたね。

中学生ごろから身長が伸び出し、テニス部に入ったこともあって運動が得意になりました。そこからだんだん自信が持てるようになり、3年間学級委員を務めるなど、クラスの中心的な役割を果たしました。また、お笑いが好きでよく見ており、自分自身も人を笑わせるのが好きだったので、クラスを明るくする盛り上げ役でもあったように思います。

自信がついて堂々と振る舞えるようにはなりましたが、根は慎重でした。何かで実績を上げるとか、自分で「これだ」という根拠がないと前に進めないタイプでしたね。

高校は、特に深く考えず学力的に手が届きそうという理由で、地元の公立高校を選びました。入学後はあまり勉強はせずに、ずっと友達と遊んでいました。何をするにも友人と一緒でしたね。進路選択の時期になっても将来の明確なビジョンはなく、とりあえず大学に行くか、くらいの気持ちでした。それなりの学校に行ったら親も文句は言わないだろうと思い、関西で有名な私立大学を目指すことにしました。

高校3年の時に通い出した塾での世界史の授業が大変面白く、はじめは西洋史を深く学べる学部に行こうと思いました。塾で受験勉強の範疇を超えて歴史の本質の一端を教わったことで、もっと深く学んでみたいと思ったのです。しかし結局、何となく就職に役立ちそうという理由で、経済学部に行くことにしました。普段は面白いことが好きなのに、進路選択など重要な決定を迫られた時は、安定を求めてどこか置きにいく自分がいたんです。進路を決めてからは絶対に合格するという覚悟のもと、毎日夜遅くまで死ぬ気で勉強していました。

その甲斐あって、志望校に無事合格。大学入学後は、バイトと遊びの毎日でした。高校の時の友達、大学で新しくできた友達、バイト仲間、と順番に遊び、遊びに行く日が足りないと思っていました。学部の勉強は、そこまで興味のある内容ではなかったこともあり、ほとんどしませんでした。単位だけは要領よく取得していましたね。

就活の時期になると、文系の自分でも主役になり得る、名の知れた大企業で働きたいと考えました。そこで、大手を中心に金融や保険関係の会社にエントリー。最終的には人が合いそうだという理由で、クレジットカードなどの決済事業をしている三井住友カード株式会社への就職を決めました。

バックヤードがメインだった入社当初


最初に配属されたのはコールセンターでした。男性が一割しかいない環境の中、うまく仕事を進めていくための処世術を学ばせてもらいました。学生の時から周りの人を楽しい気持ちにするにはどうすればいいのか考えていたこともあり、コミュニケーション自体は得意分野だったので、そこまでストレスを溜めることもなく日々仕事をすることができました。

しばらくすると、システム企画の部署に異動になりました。異動当初は、詳しく知らないシステム分野に馴染めるか分からず困っていました。しかし実際にやってみると、基本的には他部署が構想を練ったサービスを、具体的な仕様に落として、システムベンダーに依頼して仕上げる業務。本質的に求められていたのは、スケジュール管理や要件の策定など細かい内容を詰めつつ、依頼部署、及びシステムベンダーとの認識がズレないように正しいコミュニケーションを取ることでした。

当然、システム開発に関する勉強は必死でやりましたが、コミュニケーションは得意だったので、ある程度案件をこなすと自然と結果がついてきました。これは自分に向いている職場だと思いましたね。ずっとこの部署で働いてもいいなとすら思っていました。

しばらくすると、同部署でプロジェクトマネジメントも任されるようになり、ターゲットを定め、サービスをリリースするまでを一貫して管理する立場になりました。自分の携わったシステムが形になり、世の中に出ていくことにとてもやりがいを感じていました。天才肌ではないので、始めから何でもすぐにうまくはできませんでしたが、時間をかけ努力を積み重ねることで解決していきました。

異動先で打ちのめされた


29歳の時、再び異動になり、企画職になりました。今度は本当に、新しいサービスの構想を0から練ることが求められるようになったんです。そこでは、これまでの仕事での「来たものを受ける」「うまく橋渡しをする」というスタンスでは全く歯が立ちませんでした。

新しい企画を考える際には、「こんな商品・サービスを考えてほしい」というふわっとした指示しかなく、参考になりそうな前例も、この通りやればできるという手法もありません。最初はこれなら実現できそうだという範囲のことしか考えておらず、その度に上司から「で、お前はどうしたいんだよ?この企画、面白いと思ってんのか?お前が本気で売れると思えるものを考えろよ」と問い詰められる日々でした。

今まで、関係プレイヤーみんなに無理がないよう、うまく収めることを大事に仕事してきた自分にとって、初めてのゼロから自分で考える仕事でした。これまでの人生、受験も進路選択も社会人になってからの仕事も、できると思えることばかりを選択してきたんだな、とその時の上司に出会って改めて思い知らされましたね。どのように進めるべきなのか分からず、悶々とした日々を過ごしていました。

取り組んでいたのは、VisaやMastercardといった国際ブランド付きプリペイド商品の新規開発。理論的には意義のある商品だとは思ってはいたものの、心のどこかで「本当にうまく世の中に広まっていくのか」という不安が拭えず、全てを忘れて業務に没頭できる精神状態ではありませんでした。

そんな時、上司が変わり、開発している商品についてじっくりと話す機会がありました。その上司が今まで大きな案件を手掛ける中で、何を思い、何をしたい、すべきだ、と感じ、どう腹をくくって仕事と対峙したのかという体験談や、新商品にかける想いを聞きました。そこでようやく、「自分は何をどうしたいのか」を本気で考えるようになったんです。

現在取り組んでいる新商品が世に出れば、きっと世の中が便利になる。「この商品を世に出したい」と本気で思えるようになりました。さらに、それを実現するためには、「できるかできないか」ではなく、「やるかやらないか」が重要なんだと思うようになったんです。全身全霊をささげて仕事に向き合ってこられた二人の上司に出会い、共に仕事ができたことで、仕事に対する考え方が大きく変わっていきました。

それからは腹をくくり、新商品のリリースに向けて邁進しました。誰も経験したことのない課題だらけでしたが、必死で考え、周りの助けも借り、がむしゃらにやっていると、意外とできないことなんてないんだと気付きました。極端な話、ダメだと言われても頭を下げ続ければ前に進むこともあります。たとえ社内で意見が対立し険悪になったとしても、自分が考え抜いて出した結論が会社にとっても社会にとっても必要なんだと、想いを持って伝えれば、相手にも納得してもらい協力を得ることができる。最短ルートのアプローチが難しいなら、周りの環境を整えてタイミングを見計らったりと、あらゆる手段を使いました。なんとしてでも新しい商品を世に出したいと思ったのです。時間はかかりましたが、その甲斐あってようやく新商品をリリースすることができました。

0→1が好きに


新商品がリリースできたことで、新事業領域の必要性を会社にも認識してもらうことができました。間もなくプリベイド企画部が発足され、そこで国際ブランド付きプリペイドの更なる拡大に向けた企画を任されるようになりました。成功体験を一つ積めたことで、もっと新しいものを作り世に送り出したいと思うようになり、夢中で仕事ができるようになっていました。この事業を軌道に乗せようと、約5年間、無我夢中で働きました。

その仕事が軌道に乗ってきた頃、会社の中期経営計画が策定され、カードに関する既存事業だけではなく、新規事業にもチャレンジしようという方針が盛り込まれました。しかし、誰がどうやって取り組んでいくのかはあまり具体的でなかったので、私を含め新規事業の立ち上げに関係のありそうな部署からメンバーが集められ、決済以外の事業を担っている出資会社に出向という形で、新規事業の企画・推進をやらせてもらうことになりました。

とはいえ、何から始めて、どうやって進めていけばいいのかは手探りの状態。様々な手法を考えていたとき、取引先からCreww株式会社が運営しているアクセラレータープログラムの話を聞く機会がありました。自分たちでは思いつかないような斬新なアイデアが出てくることや、プログラムを進めることで新規事業に対する社内風土が醸成されるということを教えてもらいました。

そのプログラムは、新規事業を始めたいと考えている大企業が、様々なスタートアップからアイデアを募集し、協業をベースにそれを立ち上げようというもの。お互いの強みや資産を駆使し、世の中に新たなイノベーションを起こそうという取り組みでした。

ノウハウの乏しかった私たちは、このプログラムを利用して新規事業検討の第一歩を踏み出すことにしました。スタートアップからのアイディア募集の際には、会社の経営理念や中期経営計画に基づき、「感動を与えられる事業」「世の中を便利にする事業」のいずれかを満たすものにしようと軸を定めました。

結果として多数の応募をいただき、いくつもの魅力的なスタートアップと出会うことができました。最終的には4社を採択したのですが、その1社である株式会社STORY&Co.との事業を私が担当することになりました。

自分が一消費者として興味が持てて、「こんなサービスがあったらいいな」と思える事業のビジョンをSTORY&Coと共有したところ、お互いの想いが同じベクトルを向いていることが分かりました。一緒に新しい価値を創造していきたいと強く思いましたね。それから協業案を磨き上げ、社内のプレゼンをクリアし、実証実験のステップに進めることになりました。

人に喜びを与える新規事業を作りたい


現在は、株式会社STORY&Co.と共同で「ミライブックキャンペーン」を実施しています。叶えたい未来についてSNSで投稿を集め、その中から「これは」という何人かを選んでその夢を叶えるお手伝いを無料でしようと思っています。

やりたいことがあっても、なかなかきっかけがなかったり、内に閉じ込めてしまったりと、最初の一歩を踏み出せずにいる人は、意外と多いのではないかと思います。そんな人たちの背中を軽く押してあげることで、新しい趣味ができたり、新たな価値観を持てたりする人が増えるのではないかと考えました。そこで、ユーザーのやってみたい体験を叶えるサービスをつくろうと思ったのです。

私自身、この取組みを始める1年程前に、昔からずっとやりたかったドラムを思い切って始めてみたところでした。するとやっぱり楽しくて、なぜもっと早くやらなかったんだろうと感じました。そして同時に、自分以外にもなかなか一歩を踏み出せない人ってたくさんいるだろうなと思ったんです。そんな体験もあり、このサービスの実現に尽力しています。

キャンペーンはまだ実証実験の段階ですが、まずやってみて、本当に我々が想定している価値が生まれるのかを確かめたいと思っています。そして、どうやって「夢を叶えるサービス」を収益化していくのかも、しっかり考えていきたいです。

そんな取組みと並行しつつ、他にもどんな事業をやっていくかということも考えています。新しい事を考えるうえで気をつけているのは、何に対しても興味を持って接すること。若い時は自分が興味のないテレビ番組なんかは一切見ることはありませんでしたが、ひょっとすると新たな気づきがあるかもしれないし、興味が湧くかもしれない。そう考え、最近は積極的にいろいろな情報に触れるようにしています。とても小さな、誰にでもできることかもしれませんが、そのような積み重ねを欠かさないようにしています。

今後も、人に喜びを与えられるような、新しい価値を生み出していきたいです。私の根っこには、学生時代から変わらず、一緒にいる人に楽しい時間を過ごして欲しいと考える奉仕精神があります。今仕事をしているモチベーションもその延長線上にあるのだと思います。

自分が新しい価値を作り出すことによって楽しい時間を過ごしてもらえる人が、自分のコミュニティーの中だけではなく世の中に増えていけば、これほど楽しくて幸せなことはないと思うのです。

2018.09.24

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