世界中すべての人に、幸せが続く結婚を。 新たな価値を生み出す事業を作り続けたい。

エン婚活エージェント株式会社の代表取締役として、既成の概念にとらわれず、理想の結婚のためのマッチングサービスを提供している間宮さん。目指すのは、結婚した瞬間だけでなく、夫婦となった後も幸せがずっと続くような結婚だと言います。そんな理想を掲げるに至った背景とは。お話を伺いました。

間宮 亮太

まみや りょうた|幸せが続く結婚を世界中で実現する
エン婚活エージェント株式会社代表取締役社長。

突然、うまくいかなくなった家族


愛知県犬山市で生まれました。両親と姉の4人家族です。みんなで頻繁に旅行に行くような、仲の良い家族でした。特に父と母は仲良しで、家に友達を連れて来るとご飯を作ってもてなしてくれる優しい両親を、自慢に思っていました。家で過ごす時間が楽しかったです。

しかし、小4のある朝、起きたら家族の思い出の品や大切なものがごみ箱に捨ててありました。いつもの居心地の良い家の空気が、明らかにおかしいんです。これは何かただならぬことが起こったと、異変を感じました。原因は父と母の喧嘩。その日を境に、あれほど仲がよかった両親が毎日のように言い争いをするようになりました。

日々繰り返される喧嘩が辛くて、私は自分の部屋で涙を流していました。時には仲裁に入ったり、ストレスから強い口調で応戦したりすることもありました。両親だけでなく、家族全員が精神的にも肉体的にも不安定な状態でした。

家族全員で笑顔で夕食を食べたり、外食をしたり、旅行に行ったり、日常の何気ない会話をしたりといった、「日々の当たり前」がなくなって、家族がうまくいかなくなってしまいました。身内では姉だけが頼りだったので、姉と一緒にただただ昔と同じような穏やかな生活が戻ることを願っていました。

学校での私は、目立ちたがりで、手をあげていないのに発言するようなタイプ。学級委員などのリーダー的なポジションも率先して務める、クラスの中心人物でした。しかし中2になると、突然授業や勉強を頑張り続けることに虚しさを感じるようになりました。

おそらくこれまでは、自分のためではなく、両親から褒められたくて頑張っていたんです。しかし、両親から承認をもらえるような環境ではなくなったため、頑張る意味が見出せなくなってしまいました。そのうち、家に帰ることが苦痛になり、遅くまで友人と出歩くようになりました。

人を変えられる人になりたい


中3になると、なんとなくこのままではダメだなと感じ、自分を変えたいと思うようになりました。また、友人が一生懸命部活に打ち込んでいる姿を見て、自分も何か打ち込めるものが欲しいと思ったんです。そこで、過去の自分と決別するため、地元を離れ、隣町にある進学校を目指して勉強することに。中2まで真面目に勉強していたおかげで、なんとか志望校に合格することができました。

高校入学後は野球部に入部。朝から晩まで野球一色の毎日で、家にいる時間はほとんどなくなりました。そのおかげで家族のことで悩むことがなくなりました。

進路を決める時期になって初めて、将来自分が何をしたいのか真剣に考えました。その結果、自分のような道を踏み外しそうな人を良い方向に導き、変えられる職業に就きたいと思うように。それができるのは教師だと考え、教員免許を取得するために大学へ進学することにしました。

大学に入学し、たくさんの情報が入ってくると、人を変える手段が教師以外にもあることに気がつきました。新しい事業を作り、価値を生み出すことでも人を変えることができる。ちょうど起業ブームだったこともあって教師よりも経営者の方がかっこいいなと憧れるようになり、ベンチャー企業にインターンすることに。そこで、0から事業を生み出すことに触れ、自分で事業を起こしたいと考えるようになりました。

とはいえ、今の自分にすぐに起業できるほどの実力があるとは思えませんでしたし、何より明確にやりたいことが見つかりませんでした。卒業後の進路を決める時期になると、まずは自分自身が成長できる企業に就職しようと考え、自分のことを一番良くわかっている姉に相談。勧められた企業を中心にエントリーしていきました。

複数の会社から内定をもらって迷いましたが、最終的には、転職支援や社員教育事業を行なうエン・ジャパン株式会社に入社を決めました。選考が進む中で、どの会社よりも自分に向き合ってくれていると感じ、ここでなら自らの手で事業を生み出せるようなかっこいい自分になれるかもしれないと考えたのです。

任された仕事を全力で


入社して初めて任されたのは、まだ認知度の低いアルバイトメディアの営業でした。これまで何をやってもある程度はできたので、この仕事でも結果を出すことができるはずだと自信満々でした。ところがリーマンショックが起きた翌年で世の中全体が不景気だったこともあり、なかなか成績をあげることができませんでした。

無駄にプライドだけが高かったことから、できない自分には慣れておらず、ふがいない思いでいっぱいになってかなり落ち込みました。成果を出すにはどうすればいいか考えた結果、プライドを捨て、言われたことは全部受け入れようと決めました。教えられたことを素直に実践し、どんな依頼でも断らないようにしたんです。すると、半年で結果が出るようになりました。

その後も努力を重ね、入社5年目には最年少でマネージャーに就任することになりました。流通領域の人材紹介部門の責任者的なポジションです。しかし、結果を出すことができずポストを降りることに。順調にキャリアを積んできただけに、挫折感は大きかったです。

これからどうしようか改めて考えた時、入社前、新たなサービスや価値を生み出したいと思っていた原点に立ち戻りました。今なら、大学生の頃の自分とは違って成功も失敗も経験し、自信もある。そこで、ただ任された仕事をこなすのではなく、自分で新しい事業を生み出そうと考えるようになりました。

婚活事業の立ち上げ


早速、創業会長と社長に相談し、新規事業の立ち上げを任せてもらえることになりました。事業では、新しく生み出す商品やサービスを通じて、社会の中で自分が感じている課題を解決したいと思いました。自分が課題に思っていることなら、想いが強く、他人の共感を得やすいと考えたのです。

自分の人生を振り返ってみた時に、家庭のことを鮮明に思い出しました。ある1つのことがきっかけで、家族がばらばらになり、辛かった日々。世の中の多くの家族があの頃のような体験をしなくてもすむように、結婚後も夫婦の幸せが続くために必要なサービスをつくろうと考えました。

事業の構想を練るために、何組もの夫婦や離婚した男女にインタビューしました。その結果、夫婦の幸せを左右するのは、結婚前のマッチングだということが分かりました。価値観や金銭感覚、家族観などが違うもの同士が結婚してしまった結果、違いを許容しきれずに別れてしまうケースが多かったのです。そこで、相性の悪い男女が結婚してしまう問題を解決するため、結婚したい男女のマッチングを行う、結婚相談所事業が良いのではないかと思いつきました。

相性の良い男女をマッチングさせるという仕事は、よく考えるとこれまで携わってきた転職のサポートにも似ていました。転職サポートでは、再就職先の会社の価値観、仕事内容、待遇などが、自分の考え方と合っているかどうかを見定めることが大切です。一方結婚も、許容できる価値観・許容できない価値観含め、自分と相手が合っているのかを見定めることが大切だと思ったのです。

市場を分析していくと、結婚相談所のサービス自体の問題が見えてきました。結婚相談所のサービスは旧態依然としていて、「料金が高い」「会員の安全性や信用性が気になる」「なかなか成婚に繋がらない」という明確な課題があったんです。

それらの課題を本気で解決していくサービスがあれば、業界を変えられるはず。結婚相談所を婚活の身近な手段にし、幸せが続く結婚を創出できるのではないかと思いました。

幸せが続く結婚が当たり前の世界を


現在は、エン婚活エージェント株式会社の社長として「幸せが続く結婚をすべての人に。」というビジョンのもと、「結婚相談所を、もっと始めやすく、もっと便利に」というミッションを掲げ、業界の慣習にとらわれずに事業を進めています。

これまでの結婚相談所は、ほとんどが実店舗に行って仲介人に相手を紹介される形でしたが、エン婚活はすべてをオンラインで行うので店舗まで行く必要がなくなりました。店舗を運営しない分、コスト削減になり、料金を安く抑えることができています。また、会員ごとに選任のコンシェルジュがサポートする体制をとっているので、オンラインでも気軽に相談することができます。コンシェルジュから成婚に向けたアドバイスを受けながら婚活できるので、非常に高い成婚率を実現しています。

今後は、大きく2つのことに取り組んでいきたいと思っています。1つは、世界中で幸せが続く結婚を当たり前にすること。そのために、蓄積したデータとテクノロジーを活用し、エン婚活エージェントを最も結果が出る婚活サービスにしていきたいです。そして、これらのサービスを日本だけでなく、まずは東アジアなどから、海外へも展開したいと考えています。

もう一つは、新しい事業を生み出し続けていくことです。今のサービスだけに留まらず、結婚後の幸せを実現するための事業をもっと作っていきたいです。さらに、自分が創業時に味わった苦労や経験を活かし、志のある起業家を支援するような事業も行っていきたいと思っています。

結婚によってもたらされる幸せの形は、人によって違います。それでも、他人同士の男女が一緒に生活する中で、一瞬一瞬の幸せな瞬間を積み重ねることができれば「幸せな結婚だった」と言えるようになるのではないかと思います。そんな瞬間を少しでも増やせるよう、これからも新しい事業を生み出し続けていきたいです。


2018.07.30

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