最初で最後のチャンス、自分に正直に生きたい。私が選んだエンジニアとアイドルの兼業という生き方。
IT企業でエンジニアとしてフルタイムで働きながら、業務終了後や休日に「パズルガールズ」としてアイドルの活動を行っている堤さん。限られた時間の中で、それでも自分の本当にやりたいことを両立することに決めた理由を伺いました。
堤 沙也
つつみ さや|Web系エンジニア兼頭脳派アイドル
都内のIT企業でエンジニアとして、アプリ開発や業務システム開発を担当。
一方で平日の夜や休日に『パズルガールズ』として「リアル脱出ゲーム」という「謎解きイベント」の企画運営を中心に、アイドルとして活動。
エンジニアアイドルとして、Tech系の連載なども担当。
パズルガールズオフィシャルブログ
ハックガールズ連載
表現の楽しさを味わいながらもオタクになる
人前でパフォーマンスをする楽しさを知ったのは、中学の部活動でした。
本当に特に大きな理由や夢があったわけではなく、何となくかっこいいなと思って入った吹奏楽部で、音楽や人前で何かを表現する楽しさを味わいましたね。
一方でけっこうオタク気質な部分もあって、小学校高学年でワンピースにはまって以来、
アニメやマンガ、イラストにかなり夢中になっていったんです。
その影響で中学2年生では自分でホームページを立ち上げ、自分でイラストを作って掲載することを始めて、
高校生の時には小説なんかも書いてこまめにアップしていました。
高校は学問にかなり力を入れている学校ではあったのですが、すごく自由な校風でした。
周りも色々な人がいましたし、私自身も高校3年で部活動を引退した後、
普通なら受験勉強一筋という時期にも関わらず、ジャズダンスを始めました。(笑)
そのような感じで本当に好きなことにのびのびと取り組んでいましたね。
これで悔いはない。これからはエンジニアとして頑張ろう。
大学に入学してからはダンスサークルやビジコンを主催する団体に入ったのですが、
もともと中学からWebサイトを運営していた私は、自然とサークルや団体の広報やWebを担当することになったんです。
もともとはWebは自分にとって趣味というか、当たり前のように使っているものだったので、
それを職業にしようとは一度も考えたことがありませんでした。
ただ、ある時Webの仕事と並行して営業の仕事を少しやってみたのですが、
自分は営業には向いていないと感じてしまったんです。
その時初めて、「よく考えたらWebを仕事にできるかも」と考えるようになりました。
その後、ベンチャー企業での長期インターンシップを経て、
自分が大好きなWebを仕事にしたいと強く思うようになり、
そこからエンジニアという方向に向かっていきました。
一方でダンスや学生団体と並んでコスプレにも目覚めた私は、衣装作りはもちろん、
機材を自分でそろえて撮影をしたり、ロケのためにわざわざ無人島までいったりと、
やりたいことにはとことん打ち込んでいました。
4年時には秋葉原のメイド喫茶でアルバイトをし、3月に辞める際には人生で最も多くの花束までもらって
「これで悔いはない。これからはエンジニアとして頑張ろう」
とエンジニアとして頑張って行くことを決めました。
この機会を逃したら2度とないかもしれない
結局今いる会社にエンジニアとして入社して、最初の1年は技術を磨きながら、
素敵な同期や上司にも恵まれて充実した日々を過ごしていました。
社会人2年目を迎えたある日、ファンだったアイドルグループ、乃木坂46の舞台を見に行きました。
そこで、同世代の女の子たちが、ものすごく一生懸命、ひたむきに演技をしている姿を目にしたんです。
その姿に目を奪われ、素直に憧れの気持ちを抱きました。
そんな気持ちが消えないまま数日がたち、以前から好きで何度か参加したことのあった、
リアル脱出ゲームに申し込もうとWebサイトを見ました。
その時ホームページで、そのリアル脱出ゲームの公演やアイドル活動を行っている、
「バズルガールズ」の2期生のオーディションの告知を、たまたま見つけたんです。
よく調べてみると、1期生には本業として別の仕事をしながらアイドル活動をやっている人もいることがわかりました。
「これは最初で最後のチャンスだ。この機会を逃したらもう2度とないかもしれない。」そう思いました。
エンジニアの仕事は本当に好きだったし、会社員2年目ということもあってすごく悩んだのですが、
やっぱり人前で何かパフォーマンスをすることを諦めきれない気持ちが心のどこかにありました。
だから、1回しかない人生で悔いだけは残したくなかったし、アイドルになれるのは今しかないと、
オーディションは必死で取り組みました。
残りわずかなこの時間を、全力でやりきりたい。
そうやって必死にオーディションに取り組んだ結果、2期生としてパズルガールズの正式なメンバーとなり、
今はエンジニアとして働きながら平日の仕事が終わった後や休日にパズルガールズのお仕事をしています。
パズルガールズの活動は、一般的なアイドルグループのように歌ったり踊ったりもするのですが、
それ以外に平日の夜に行われるイベントの運営や、休日に行われるリアル脱出ゲームの運営といったことをやっています。
リアル脱出ゲームはいわゆる謎解きのようなものなのですが、
当日の運営だけではなく謎解きの問題自体を自分たちで考えるため、
平日はイベントの担当ではないメンバーは、その裏で問題の制作会議を行っているんです。
エンジニアとして仕事をした後で移動をして、終電まで制作会議やイベントの運営をして、
次の日は定時で出勤という活動を毎日のように続けていると、正直かなり大変で辞めたいと思ったことも何度かあります。
それでもその度に「こんな奇跡みたいな環境はもう2度とない」と思うと満足するまでは辞められないですし、
何よりこんな自分の気持ちを尊重してくれる、支えてくれるファンの人や、会社の人を思うと、
絶対に最後までやりきりたいという気持ちになるんです。
私の年齢を考えると、普通のアイドルでは賞味期限が切れかかっている年齢で、
もう残された時間は多くありません。
だからこそ、その残りわずかな時間は多くの人への感謝の気持ちを忘れずに、
公演やパフォーマンスを通して楽しい想いをファンの方に共有できるようにアイドルとしてやりきりたいと思っています。
一方、あくまで私の主軸は、エンジニアとして大好きな会社に貢献すること。
今後も立派な技術者を目指して、良いサービスを作り続けていきたいです。
2014.06.17